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2005.12.19
安全・安心な街づくりを目指す「車いすロボット」を開発


このたび、当社は情報通信機能をロボット側だけではなく、建物や周辺施設にも設置し、低コストで、より実用的なロボットシステム「車いすロボット」を開発し、実用化に目途をつけました。

「車いすロボット」は、建物や周辺施設に設置した「無線タグ」からの情報をもとに、屋内外を自由自在に移動することができます。高齢化の進む地域における福祉ロボットとしての活躍が期待できるばかりでなく、周辺施設とロボット技術を融合した「安全・安心な街づくり」への応用が考えられます。

今後は、技術面での改良・改善を重ね、病院や介護施設における高齢者向けのロボットシステム、オフィス空間における配送ロボットシステム、空港の荷物カートやスーパー・デパートの買い物カートなど、実用性の高いロボットシステムへの展開を図ります。

なお、「車いすロボット」の実用化に向けた実証実験は、ロボット関連産業の集積を目的とした福岡市の「アイランドシティ」の公道において、市の協力を得ながら進めることができました。自動走行するロボットの公道における実証実験は、国内では初めてのことです。

●特長

  • センシングや通信・情報処理機能を建物などに分散配置することで、コストをかけずに実用的なロボットシステムを実現できます。
  • 自動・追随・手動の3つの動作モードを持ち、安全・確実に移動することができます。

インデックス ■周辺施設とロボット技術が融合した「安全・安心な街づくり」への第一歩
■「車いすロボット」の仕組み
■福岡市アイランドシティにおける実証実験



周辺施設とロボット技術が融合した「安全・安心な街づくり」への第一歩



自動モードで、曲がり角に沿って走行する「車いすロボット」(動画をご覧いただくためには、アップル社のQuickTimePlayer(無償)が必要です)

「車いすロボット」は、高度な画像処理など複雑な処理や判断を行うことなく、建物など周辺施設側に設置した無線タグの情報を得ることで、屋内外を自由自在に移動する信頼性、安全性に優れた実用的なロボットシステムです。

ロボット自体は、市販の電動車椅子をベースに、新たに制御装置や各種センサーなどを組み込んだものです。機能としては、「自動」「追随」「手動*」の3つのモードが設定されています。

*手動モード:通常の電動車いすと同様、乗車する人の操作によって移動します。

■無線タグと二次元距離センサーで「自動」走行

壁や塀などに設置された「無線タグ」から得た情報を読み取りながら、停止、角を曲がる、音声を発するなどの動作を自動的に行い、所定のルートを移動できます。


無線タグ:壁に設置した「無線タグ」の情報に基づいた動作を自動的に行い、移動します(画像にマウスカーソルを重ねると拡大表示します)。


無線タグの仕組み



二次元距離センサー:壁との距離を読み取りながら安全に走行します(画像にマウスカーソルを重ねると拡大表示します)。

歩道沿いにある壁の位置を「二次元距離センサー」により検知し、所定の距離を保って自動的に走行し、安全を確保します。また、前方に障害物を認識した場合には、車いすロボットは即座に自動停止します。

■超音波センサーで「追随」走行

超音波発信機を持っている人の後を、一定の距離を保ちながら自在に移動します。人に装着した「超音波発信機」と車いすに設置してある4つの「超音波リーダー」間の距離を検知し、均一になるように微調整することで、正確な向きを保つと共に安定した走行ができます。


人に装着した超音波発信機の方向を検知し、追随走行します(画像の○印にマウスカーソルを重ねるとそれぞれ拡大表示します)。


追随モードの仕組み:車いすロボットと人の距離を検知し、その補正を行うように制御し、走行します。

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「車いすロボット」の仕組み

ロボットは、二次元距離センサー、無線タグアンテナ、超音波リーダーなどのセンサーシステムと、車輪駆動用の制御装置及び緊急停止装置などの安全装置で構成されています。

■仕様

外形 1,100(L)×800(W)×1,100(H)
重量 70 kg
動力 鉛蓄電池(最大24V)
出力 60W DCモータ×2
最高速度 4.5km/h
可搬重量 40kg
運転モード 追随型自動運転、自動運転、
手動運転(通常の電動車椅子と同様、ジョイスティック操作)
安全装置 ・二次元距離センサー
・超音波センサー
・本体上非常停止ボタン
・ワイヤレス非常停止ボタン  
・動作表示灯  
・電磁ブレーキ

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福岡市アイランドシティにおける実証実験


福岡市は、ロボットなど先端産業による街の活性化を図るため、平成15年に「ロボット特区」の認定を受け、企業のロボットに関する研究開発を積極的に支援しています。

その「ロボット特区」事業の一環として、当社は市から、博多湾にあるアイランドシティの「照葉まちびらきフェア」の会場内及びその周辺の公道を、「車いすロボット」の実証実験の場として提供いただくとともに、様々な支援・協力をいただきました。

平成17年9月25日〜11月20日にかけて、基本性能実験、主要性能実験、最終確認実験の三段階に分けて行いました。福岡市東区アイランドシティ内「照葉のまち」の中央部にあるゆるやかなスロープのある私有地内の道路など約400mと、その周辺部の公道の歩道約100mを繰り返し走行して実験しました。

実証実験により「車いすロボット」の各センサーやコンピュータープログラムの性能、また、建物側に設ける設備の条件などを明らかにするとともに、実用化に向けての改良・改善点を把握することができました。

■開発者からの一言


技術研究所
前田主席研究員

今、テレビや雑誌で最先端の高度なロボットが話題になっていますが、実用化には相当の時間がかかりそうです。そのような研究も大事ですが、われわれは、少し考え方を変えて、ロボットを高機能にするだけでなく、実用的なシステムを目指して検討してきました。ロボットの機能の一部を建物やインフラ側に移し、無線センサーなどで情報をやり取りすることによって、ロボットの負担を軽くしようとするものです。

一方、福岡市では、平成15年にロボット特区の認定を受け、いろいろなロボットの実証実験を実施してこられましたが、私共のこのような考え方を評価していただき、今回開発した車いすロボットの実証実験が、福岡市内の公道で実現した訳です。この開発で得られたデータやノウハウを踏まえて、今後は病院など医療施設やオフィス、マンションなどでの実用的なロボットシステムへの展開を図っていきたいと考えています。

 

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