2003.04.14

テクニカルニュース

生産技術

都市再生の切り札 開削工事が不要!~大断面道路トンネル分岐部施工の新提案~

 このたび、地下大断面道路トンネルの分岐合流部を、地上から開削することなく築造できる「ES-J工法」をコマツと共同で開発しました。すでに、一連の施工性に関わる実証実験を行い、実用化の目途が立っています。

 これまでトンネルの分岐合流部は、開削工法で施工するのが当たり前でした。しかし、開削工事を行うと、地上の道路交通や環境に与える影響が大きく、また、地上に大きな工事用地が必要となるなど、さまざまな問題が生じます。


ES-J工法のイメージ

イーエス・ジェー工法:Expandable and Shrinkable tube method for Junctionの略

≪ES-J工法の特長とメリット≫

  • 分岐合流部を開削なしで築造できるため、地上の道路交通や環境に与える影響が少なく、さらに地上の工事用地を必要としません。
  • 従来の開削工法に比べ、分岐合流部の建設費が15%以上コストダウンでき、工期も短縮されます。
  • 一台の本線用シールド機で任意の位置に何回でも分岐合流部を築造できます。また、本線トンネルと出入ランプ用シールドの接合がいつでもできます。

ES-J工法の概要

 「ES-J工法」は、大断面道路トンネルの本線用シールドの拡幅技術と、本線用シールドと出入ランプ用シールドとの接合技術から構成されています。

  • 本線用シールドの拡幅技術は、先に開発した任意の位置でトンネル断面を拡大・縮小できるシールド工法「ES-Tube工法」の要素技術群をベースに、新たに、大断面シールド機の開発を行いました。
  • 本線用シールドと出入ランプ用シールドとの接合技術は、本線用シールド掘進時に設置する接合用セグメントの開発、および本線用シールドと出入ランプ用シールドの接合技術の開発を行いました。

■施工手順

  1. トンネル断面を拡大・縮小できる本線用の大断面シールド機を用いて、本線用シールドを掘進します。
  2. 本線用シールドと出入ランプ用シールドとの接合予定箇所に、出入ランプ用シールド機のカッタで切削可能な接合用セグメントを設置します。
  3. 出入ランプ用シールドを受け入れる断面を確保するため、本線用シールドを拡幅します。
  4. 出入ランプ用シールド機が、本線用シールドの接合用セグメントの一部を切削しながら掘進し、本線用シールドの拡幅部分に到達します。
  5. 本線用シールドと出入ランプ用シールドを接合し、分岐合流部の築造が完了します。

※地下約50mまで対応可能

■ES-Tube工法

 掘削しながら任意の位置でトンネル断面を拡大でき、また任意の位置で元の断面に戻せるシールド工法です。

 トンネル断面の拡大は、シールド機の側部を拡幅して拡大したシールド機内で拡大セグメントを組み立てます。使用するシールド機の特徴として拡大断面を掘削するためのカッタ(伸縮カッタなど)とシールド機側部拡縮機構を備えています。


ES-Tube工法のイメージ