2003.05.08

テクニカルニュース

環境

「一石二鳥」の環境対策~廃棄物を減らし、緑を増やす新技術~

 解体工事や改修工事などで大量に発生する解体廃材(コンクリート塊や木片)を、緑化土壌としてリサイクルする新技術「RECO-Soil(レコソイル)工法」を、東京電力(株)、(株)クレアテラと共同で開発しました。

 本工法は、コンクリート塊や木片を産業廃棄物として建設現場の外に搬出することなく、場内で緑地造成に再利用できるため、廃棄物を大幅に減らすことができます。

 昨年5月、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」が施行され、地球温暖化対策など環境保全の観点から、発生する解体材の廃棄物処分量を減らすことが強く求められています。環境にやさしい本工法を採用することにより、廃棄物の減量化(ゼロエミッション)に貢献する企業姿勢をアピールすることができます。

RECO-Soil工法:Recycle&Ecology-Soil(レコソイル)。資源再利用(Recycle)と生態系・環境(Ecology)に配慮した緑化土壌の意

≪お客様メリット≫

  • 建設廃棄物の発生量を大幅に減らせるため、資源再利用の促進および自然環境負荷の低減に貢献できます。
  • 緑地造成に必要な土壌の搬入や転用を必要最小限とすることができます。
  • コンクリート塊・木片の運搬、処分費および土壌搬入費などが削減でき、従来の工法に比べ、10~30%のコスト削減が可能です。

産業廃棄物処理費などの条件により変わります。


RECO-Soil工法の概要

 RECO-Soil工法は、コンクリート塊・木片を対象とし、以下の手順で人工緑化土壌とする技術です。 特別な設備や技能は必要なく、一般的な作業で施工できます。

■コンクリート塊の場合

  1. コンクリート塊を、30cm以下に粉砕します。
  2. コンクリートに含まれるアルカリ分が溶け出すのを防ぐ液剤を散布して、中性を確保します。
  3. 椰子(やし)繊維を対象物の体積比約30%程度混ぜ合わせます。
  4. コンクリート塊と椰子繊維(約4cmに細断)を隙間が埋まる程度に、建設機械(バックホウなど)で撹拌し、緑化土壌を造成します。

■木片の場合

  1. 木片を、5cm以下を目安に細断します。
  2. 酸欠を防ぐ液剤を散布します。
  3. コンクリート同様、椰子繊維を混ぜ合わせます。
  4. 造成方法はコンクリート塊の場合と同じです。

いずれの液剤も無害です。

実証実験で植物の生育状況を確認

 実証実験では、植物の生育に悪影響を与える「コンクリートのアルカリ分」や木片が腐る際に生じる「酸欠状態」を抑制するために散布する薬剤について、実際の施設解体で発生したコンクリート塊・木片を用いて様々な実験を行いました。

 その結果、薬剤を使用しても植物の生育に悪影響を与えることなく緑化が実現できることを確認しています。


試験フィールドでは0~30cmの大きさに砕いたコンクリート塊を用いて緑化土壌を生成し、実証実験を行いました。


芝生や低木(ツツジ・アジサイなど)、中木(ケヤキ・シラカシ)を植えて調査・解析し、緑化土壌として十分有効活用できることを確認しています


施工後1年を経たリサイクル緑化土壌です。解体廃材とは思えぬほど、自然と同化しつつあります