2006.06.27

テクニカルニュース

環境

建設会社として初、川崎市より認定取得「土壌洗浄プラント」

土壌汚染対策法が施行されてから3年が経過しました。こうした法規制のみならず、土地の有効利用を背景に土壌浄化のニーズは急増しています。一方、環境省は土壌汚染対策業者に対し新しく認証制度を導入することを決め、2008年度までに評価基準や評価方法などをまとめ、土壌調査や浄化を手掛ける業者を評価、格付けすることになりました。

当社では、重金属や油などによる汚染土壌を浄化する「土壌洗浄プラント事業所(川崎)」が、昨年12月に建設会社では初めて、汚染土壌浄化施設の認定を川崎市から取得し、適正な施設であることが法的に認められました。これにより、一般の汚染土壌浄化はもちろん、土壌汚染対策法に基づき都道府県知事が定める「指定区域」の土壌汚染を処理することが可能になりました。

また、移動式の「オンサイト型洗浄プラント」や、揮発性有機化合物(VOC)による汚染を原位置で浄化する各種技術を開発・実用化し、土壌浄化に関するお客様の多様なニーズにお応えしています。

当社は、業界トップクラスの実績に裏づけられた技術とノウハウで、土壌汚染の調査から処理、土地活用の一貫体制で、お客様をきめ細かくサポートします。


フル稼働の「土壌洗浄プラント事業所(川崎)」


浄化実績の推移

指定区域:土壌汚染対策法に基づく調査により、重金属などが確認された土地で、都道府県知事が指定した区域。指定区域の土壌を搬出し、他の場所で浄化する場合は、知事又は政令市長から汚染土壌浄化施設と認定された施設で処理することが定められています。


「指定区域」の汚染土壌も浄化可能「土壌洗浄プラント事業所(川崎)」

土壌洗浄プラント事業所(川崎)は、浄化が難しいとされる重金属や油などの汚染土壌浄化に威力を発揮します。関東地区を中心に全国からの汚染土壌を受け入れています。土壌洗浄プラントとしては最大規模で、処理量は年々増加し、平成17年度の浄化実績は22万トンです。

「土壌汚染対策法」に基づく汚染土壌浄化施設の認定は、国内で7番目、建設会社では初の取得です。認定では、土壌洗浄プラントの構造、維持管理、周辺環境への影響などについて、8ヶ月にわたる川崎市の厳格な審査を受けて、適正な処理施設であることが認められました。「指定区域」は増加傾向にあり、浄化ニーズに積極的に取り組んでいきます。


好立地を生かし、関東地区を中心に全国の汚染土壌を受け入れています。

■汚染土壌処理の流れ:調査・対策計画から、処分、リサイクルまで

事前の調査、トリータビリティ試験により洗浄が有効と判明した場合、対策計画を作成します。現地から搬出された汚染土壌は、土壌洗浄プラント事業所(川崎)で処理することにより、「洗浄処理土」と「濃縮汚染土」に分けられます。環境基準以下であることを確認した「洗浄処理土」は、再利用可能です。「濃縮汚染土」は管理型処分場やセメントリサイクル材として搬出します。

■洗浄プラントにおける土壌洗浄システムの流れ 

このプラントは、オランダから導入した技術を日本の土壌に適合するように改善した洗浄システムです。

高圧洗浄ふるいやサイクロン分級、泡浮遊式分離、重力式分離システムなどを備えたプラントで、重金属や油などで汚染された土壌を洗浄できます。24時間フル稼働で、1日あたり960トンの汚染土壌が浄化できます。


オンサイト型(移動型)洗浄プラント

オンサイト型洗浄プラントは、重金属や油などによる汚染土壌を現地で浄化する移動式洗浄システムです。

土質条件、汚染物質により機器の組合せを選定し、最適な浄化システムで、効率的に汚染土壌を処理します。また、汚染土壌を場外に搬出する車両の台数を大幅に削減でき、周辺環境にもやさしい浄化工法です。現在3基のオンサイト型洗浄プラントを保有していますが、台数を増やして土壌浄化事業をさらに拡大していきます。


オンサイト型洗浄プラント:油の臭いが発生するサイトの場合は、プラントを覆い、臭いが拡散しないように周辺への環境対策を講じます。


揮発性有機化合物(VOC)による土壌・地下水汚染の浄化

テトラクロロエチレンやトリクロロエチレンなどの揮発性有機化合物に汚染された土壌を掘削せず、直接その場で効率よく浄化できる各種技術をご紹介します。

■フェントン法(フェントン処理)

オランダの土壌浄化専門会社から導入した「注入フェントン法」では、汚染土壌に過酸化水素水と鉄塩を注入し、土中で反応させて汚染物質を直接分解します。

高濃度の汚染でも、短期間・低コストで浄化が可能な上、適用する薬液は反応後に水と酸素に分解されるため危険性がありません。掘削・運搬・処理の必要がなく、稼働中の工場にも適用できます。

また、注入法の適用が困難な土質対策として、薬液を吐出しながら土壌を撹拌する「撹拌フェントン法」を開発しました。これによって今まで原位置での浄化が難しかった粘土・シルト質に含まれる汚染も処理することが可能です。


注入フェントン法による浄化のイメージ


撹拌フェントン法による浄化のイメージ

詳しくは、バックナンバー「2004.07.20 高濃度の汚染土壌を低コスト・短工期で集中浄化」をご覧ください。

■バイオスクリーン工法(バイオ処理)

土壌中に存在する「嫌気性微生物」に栄養剤を与えることで活性化を促し、揮発性有機化合物を無害化する工法です。

井戸の配置や薬剤の工夫により微生物を適切に管理することで、揮発性有機化合物を効率よく分解します。


バイオスクリーン工法

詳しくは、バックナンバー「2003.07.18 バイオのパワーで汚染土壌浄化」をご覧ください。