2007.01.16

テクニカルニュース

施設価値向上

生産プロセスに最適なクリーン環境を提供する研究施設が完成!

当社は、世界最高水準の総合クリーンルーム研究施設を当社技術研究所内に建設中です。完成は2月末の予定です。

電子デバイス製造などの最新工場では、クリーンルームが生産機能の中核を担っています。このクリーン化技術は目まぐるしい進化を遂げるなか、日々、高性能化・ローコスト化が求められています。

当社では1980年代からクリーン化技術の研究開発に着手し、成果を上げてきましたが、昨今の最先端の顧客ニーズに対応するため、新たな研究施設として建設しました。


完成イメージ図

本施設は、研究目的に応じて、「スーパーナノクリーンルーム」「大空間クリーンルーム」「バイオロジカルクリーンルーム」の3つの研究用クリーンルームで構成されています。

当社は、先端クリーン化技術の研究開発に本施設を積極的に活用し、お客様と密に連携しながら、生産プロセスに最も適したクリーン環境の実現にスピーディーに対応していきます。

●総合クリーンルーム研究施設の特長

  • 研究目的に応じて、「スーパーナノクリーンルーム」「大空間クリーンルーム」「バイオロジカルクリーンルーム」という3つの研究用クリーンルームで構成されています。
  • スーパーナノクリーンルームは、世界最高水準のクリーン度を誇り、水分も制御できます。
  • 大空間クリーンルームは、最新鋭の大型製造機器による実物大実験が行えます。
  • バイオロジカルクリーンルームは、微生物対策用の特殊設備を備えます。

研究目的に応じた3つの研究用クリーンルーム

総合クリーンルーム研究施設は、「スーパーナノクリーンルーム」「大空間クリーンルーム」「バイオロジカルクリーンルーム」という、それぞれ異なる特長を持つ3つの研究用クリーンルームと、化学分析実験ゾーンから構成されています。

本施設のコンセプト「お客様と共同実験・開発ができる」「お客様の生産ラインが再現できる」「必要なデータをスピーディーに提供できる」に基づき、価値の高いクリーンルームを提供します。

■スーパーナノクリーンルーム

ナノレベルの超清浄な環境が必要な生産施設向けクリーンルームです。クリーン度は、世界最高の水準の「クラス0」です。

「塵・埃」はもちろんのこと、外気やクリーンルーム構成材料からの「ガス状汚染物質」を1ng/m3 以下に、さらには「水分」までも制御します。超高性能ケミカルフィルタなど、様々な要素技術を駆使して、ハイレベルなクリーン環境を実現します。

クラス0(ゼロ):JIS表示で、例えばクラス1の場合は1m3 中、粒径0.1μm以上の微粒子が10個以下。今回の「クラス0」は同粒子が1個以下であることを表します。


超高性能ケミカルフィルタ


シミズ・ナノ・クリーン・システム(概念図)

■大空間クリーンルーム

室内高さ14m、建設業界では最大のクリーンルームです。本クリーンルームは、大型化する最新鋭の製造装置などを実際に稼動させて、実物大の実験を行うことが可能です。

実際の生産ラインと同条件で研究開発することで、最重要課題である生産性の向上などに貢献します。

■バイオロジカルクリーンルーム

医薬品工場や医療施設等に必要なバイオ関連のクリーン化技術の実証実験を行います。除菌装置など、微生物対策用に特殊設備を備えています。

■化学分析実験ゾーン

アウトガス実験室、化学実験室、機器分析室などの実験室と、様々な分析機器が設置されており、お客様が必要とする各種のデータをスピーディーに提供します。

例えば、アウトガス実験室は、様々なクリーンルーム構成材料のアウトガス評価を独自に素早く行います。また、大型電子機器等からのVOC(揮発性有機化合物)放散量を測定できるラージチャンバーを備えています。


アウトガス実験状況


採用した各種クリーンルーム関連技術

■ケミカル汚染分析解析技術

ケミカル汚染対策を実現・検証するための各種実験や機器分析および分子シミュレーションによる解析を行います。 その他、各種分析装置を備えています。

水分が多いほど汚染分子の吸着エネルギーが増大し、汚染が発生しやすいため、次世代クリーンルームでは水分制御(ゼロ)が重要です。


分子シミュレーションによる水分と汚染度の検証例

■気流可視化技術

気流性状を数値解析結果と実映像を合成してプレゼンテーションを行うMR(Mixed Reality) システムを導入し、気流を可視化して検証することができます。

空調システムの検証や生産・搬送装置の汚染防止を図ることができます。

右は、搬送ロボットが動く際に発生する気流を可視化した映像の1コマです。ロボットの動きに伴い、周辺の気流が大きく乱される様子が一目でわかります。


画像の赤い部分が気流の乱れを表している

■タスク&アンビエント・クリーン空調

クリーンルーム用に独自開発した空調システムで空調機器を自由にレイアウトすることにより、エリア毎に最適なクリーン環境をつくり、高い省エネ効果を得ることができます。

天井が不要となり、配管の一部も省略できるためイニシャルコストも削減できます。


タスク&アンビエント・クリーン空調システム(概念図)


地震・微振動対策も万全

本施設は、最新のクリーンルーム向けに新規に開発した、地震対策と微振動対策を両立させる免震・制震システムを初採用しました。また、免・制震システムは更新が可能な構造になっており、効果の検証を行うと共に、最新の技術に対応していきます。

マルチステップ免震:

複数の免震装置を組み合わせることにより、微振動性能と免震性能を兼ね備え、最適な免震効果を発揮します。

高性能制震ダンパー:

従来の制震技術では困難な中小地震から、大地震まで効率的に揺れを低減します。