2010.11.25

テクニカルニュース

健康・快適

スマートグリッド対応の次世代型“超環境オフィス”完成

当社の技術研究所本館内にこのほど、CO2削減と快適性を追求した、スマートグリッド(次世代電力網)対応の次世代型超環境オフィス「スマートワークプレイス®」が完成しました。

スマートワークプレイスの特長は、「必要な人に、必要な時に、必要な所に、必要なエネルギーを、必要なだけ供給でき、かつ快適性を追求できる」ことです。オフィス内では快適性を損なうことなく、消費電力(電力需要)が必要最低限に制御され、かつ必要最低限の空間に個人最適の光・温度環境が創出されます。その核となるのは、エネルギー制御システム「シミズ・スマートBEMS※1」です。本システムは、太陽光発電と蓄電池を組み込んだマイクログリッド、設備機器のデマンドレスポンス※2、個人認証をベースとする照明・空調制御により、CO2の排出量を一般的なオフィスに比べ60%削減するとともに、ピーク時の消費電力を最大20%削減することができます。

今後、当社は、こうしたスマートグリッド社会の実現に向けた各種の先端技術を、建物単体にとどまらず、地域開発に対しても提案していきます。

シミズ・スマートBEMS…Building Energy Management Systemの略。電力系統(マイクログリッド)の制御機能と電力需要者(設備機器)の制御機能の一体化が特徴。

デマンドレスポンス…需要予測と実績情報に基づいて、消費電力のピーク時の削減(ピークカット)や平準化を自動的に行う先端技術。


スマートワークプレイス

■「スマートワークプレイス」の特長

  • 個人認証をベースとする照明・空調制御により、各個人に最適化された快適環境を創出すると同時に、無駄をなくして大幅な省エネを実現。
  • CO2の排出量を一般的なオフィスに比べ60%削減するとともに、ピーク時の消費電力を最大20%削減。

無駄をなくして、快適性の追求と省エネを両立

次世代型の超環境オフィス「スマートワークプレイス」では、個人が携帯する無線タグの発信電波をもとに、個人認証センサーがその位置を正確かつリアルタイムに認識し、その場所に対応した天井照明(LED)と足下の個別空調を制御し、個人に最適な環境を創出します。デスク周りはもちろん、共用部分の照明と空調も制御されており、人がいない空間の照明は暗めに、また室温は高めに制御されます。

■「人がいる場所といない場所」「個人」で異なる光・温度環境を創出

個人認証範囲は約3m2(個人スペースの大きさ)であり、制御区画が「ゾーンから個人」となったことで、各個人に最適化された快適環境を創出すると同時に、徹底的に無駄をなくすことで大幅な省エネを実現しています。


デマンドレスポンスにより消費電力を平準化

スマートワークプレイスの核となるエネルギー制御システム「シミズ・スマートBEMS」は、スマートグリッド社会の実現に不可欠である先端技術「デマンドレスポンス」により、快適性を損なうことなく、ピーク時の消費電力を最大20%程度カットすることができます。

具体的には、まず初めに天候等から翌日の電力需要を予測し、蓄熱・蓄電計画を立案します。その上で、真夏や真冬など、蓄熱・蓄電だけでは、翌日の電力需要が契約電力の削減目標内に収まらないことが予測された場合は、設備機器の運転計画を修正し、送風・換気・空調設備の停止や低出力運転等を実施します。また当日、例えば夏場の急激な気温上昇などにより、実際の電力需要が削減目標を上回る事態に陥りそうな場合は、設備機器をリアルタイム制御し、電力需要を削減目標内に抑えます。


グラフの青色部分は、翌日の電力需要の経時変化予測。
赤線は、夜間に蓄熱・蓄電した電力を用いてピークカットを行った場合の電力需要の経時変化予測


技術研究所本館が生まれ変わりました

2010年10月、当社技術研究所「本館」がスマートワークプレイスをはじめ、スマートグリッド社会の実現に向けたさまざまな先端技術を導入し、「ASラボ(Advanced Smart solution laboratory)」として生まれ変わりました。今回の改修では、省エネ効果のみならず、その使い心地についてモニタリングを行っています。

■技術研究所本館の概要

所在地 東京都江東区越中島3-4-17
規 模 地上6階、建築面積1,919m2、延床面積9,634m2
構 造 鉄骨造・一部鉄筋コンクリート造、免震構造
竣 工 2003年10月
改修工期 2010年4月~2010年9月

BCS賞を受賞

去る11月15日に、第51回 BCS賞(建築業協会賞)※3の表彰式が行われました。今回は特別賞1点を含めた計16点が選ばれ、当社は本賞2点「いわき芸術文化交流館」「北國新聞赤羽ホール」と特別賞「和光本館リニューアル」を受賞しました。

■いわき芸術文化交流館

自由度の高い立地を生かして、大小さまざまなホールを有機的かつ立体的に配置しています。市民が集う文化活動の拠点施設を密度高く計画しました。特に大ホールでの音響を考慮したPC版による鎖壁は斬新で、圧巻の劇場空間を創出しています

所在地 福島県いわき市平字三崎1-6
建築主 いわき市
いわき文化交流パートナーズ株式会社
設計者 清水建設株式会社
株式会社 佐藤尚巳建築研究所
株式会社 永田音響設計
株式会社 シアターワークショップ
施工者 清水建設株式会社
常磐開発株式会社
福浜大一建設株式会社
竣工日 2008年12月31日

■北國新聞赤羽ホール

地域の芸術文化活動の拠点として建設された施設。曲面のガラスファサードと丸みを帯びた漆黒の壁、鏡面の天井で構成されたホワイエが、シューボックス型のホール(内装:木材)と好対照をなしています。

所在地 石川県金沢市南町2-1
建築主 株式会社 北國新聞社
設計者 株式会社 日本設計
施工者 清水建設株式会社
竣工日 2008年7月23日

■和光本館リニューアル(特別賞)

銀座のランドマークとして親しまれている和光本館。昭和7年に建設された歴史的景観を保存する意義は大きく、周辺ビルとの連携を考えた事業計画や、意匠を損なわない耐震補強計画など、創建当初の景観を保存することを目的としたさまざまな工夫と、創業時からこの建築を守ってきた建築主に敬意を表し、特別賞が授与されました。

所在地 東京都中央区銀座4-5-11
建築主 株式会社 和光
セイコーホールディングス株式会社
設計者 清水建設株式会社
施工者 清水建設株式会社
竣工日 2008年11月

BCS賞(建築業協会賞)…「優秀な建築物をつくり出すためには、デザインだけでなく施工技術も重要であり、建築主、設計者、施工者の三者による理解と協力が必要である」という初代理事長 竹中藤右衛門の発意により昭和35年(1960年)に創設され、以後、わが国の良好な建築資産の創出を図り、文化の進展と地球環境保全に寄与することを目的に毎年、国内の優秀な建築作品の表彰を行っている。