2011.08.29

テクニカルニュース

防災・減災

大地震時における免震建物の効果

当社技術研究所には、柱頭免震構造を採用する本館をはじめ、さまざまな機構の免震建物が建てられています。3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では、これら免震建物の挙動について多くの貴重な観測記録が得られたとともに、解析によりその免震効果が確認されました。

今回の特集では、それぞれ異なる免震機構を採用する本館、風洞実験棟、安全安震館について、観測記録に見られる免震効果をご紹介します。大地震時における免震装置の挙動を収録した珍しい映像もあわせてご覧ください。

また、当社のホームページでは、地震の概要、生産施設の被災状況分析および火災被害の概要などを公開しています。【東北地方太平洋沖地震関連技術レポート


技術研究所本館(柱頭免震)


風洞実験棟(パーシャルフロート免震)


安全安震館(塔頂免震)


大地震時における免震装置の挙動を収録した映像

技術研究所本館では柱頭免震部分にカメラをセットしており、地震を感知すると地震波の観測システムと連動して免震装置部の挙動を収録する仕組みとなっています。

映像は東北地方太平洋沖地震の本震時における本館の挙動を収録したものです。特に揺れが大きかった収録開始後100秒から160秒までの60秒間について、映像とそれに連動した免震装置の変位軌跡(上段右)と加速度波形(下段)を表示しています。


観測記録に見られる免震効果

■本館(柱頭免震)

本館は、建物1階ピロティの6本の独立柱の上部に、鉛プラグ入り積層ゴムと呼ばれる免震装置を設置した「柱頭免震構造」を採用しています。

本建物では、6階、4階、2階、1階(地表)に加速度計が設置されています。また、免震層の長辺(X)と短辺(Y)の2方向に対して変位計が設置されています。


独立柱上部の鉛プラグ入り積層ゴム

免震効果
免震層の上にある2階以上の加速度は、1階(地表)に対して約半分に低減されました。本免震装置の許容変形(性能保証変形)は45cmですが、本震時には片振幅で最大8.6cm動きました。このときの免震周期は長辺(X)、短辺(Y)方向とも約2秒でした。

観測点の配置と最大加速度(左)と最大加速度の分布(右)

■風洞実験棟(パーシャルフロート免震)

風洞実験棟は、建物重量の半分を水の浮力で支え、残り半分を高減衰積層ゴムで支える「パーシャルフロート免震構造」を採用しています( 詳細はこちらをご覧ください)。

本建物では、2階天井の鉄骨、2階床面、B1階床面、免震基礎底面に加速度計が設置されています。また、免震層に変位計が設置されています。


水中用に全体がゴムで被覆された免震装置

免震効果
B1階、2階での加速度は、地表面(堀割底面)に対して約半分に低減されました。本免震装置の許容変形は46 ~48cmですが、本震時の免震層の最大変位は4.6cmで、このときの免震周期は長辺(X)、短辺(Y)方向とも約2秒でした。


観測点の配置と最大加速度(左)と最大加速度の分布(右)

■安全安震館(塔頂免震)

安全安震館は、建物中央のコア頂部に免震機構を設置し、その上部フレームから鋼製ロッドで3層のオフィス部を吊り下げる「塔頂免震構造」を採用しています(詳細はこちらをご覧ください)。

本建物では、1階(基礎)、2階、R階、コア頂部、免震層中段および上段の長辺(X)、短辺(Y)方向に対し加速度計が設置されています。また、2階床とコア部の間に変位計が設置されています。


コア頂部の免震機構

免震効果
2階での最大加速度は、1階基礎に対して長辺(X)方向で約半分、短辺(Y)方向で約1/3 にそれぞれ低減されました。本免震装置の許容変形は約16cmですが、本震時では頂部から吊られている2階とコア部との間が最大約8cm動きました。このときの免震周期は長辺(X)方向が3.6 秒、 短辺(Y)方向が3.4 秒でした。


観測点の配置と最大加速度(左)と最大加速度の分布(右)