2011.07.04

テクニカルニュース

施設価値向上

施設内の微生物対策に新手法を確立

当社は、医薬品・食品工場や医療機関における微生物対策の一つである薬剤散布の効果を、より現実に近い形で定量的に検証できる手法を確立しました。これにより、黄色ブドウ球菌や枯草菌、大腸菌、緑膿菌など、医薬品・食品工場や医療機関が最もケアする微生物を効果的かつ経済的に滅菌する薬剤散布方法の提案が可能となりました。

本手法では、はじめに当社技術研究所内にあるバイオロジカルクリーンルーム(BCR)で薬剤散布試験ならびに薬剤分解試験を実施。次に試験結果を踏まえて、薬剤散布方法の効果と経済性の最適化を図るシミュレーションを実施します。一連の検証に必要な期間は、対象施設によって異なりますが、短いもので1~2週間程度です。

BCRにおける試験では、室内はもちろん、ダクト内への薬剤散布も可能で、建築設備を含め検証を行うことができます。また、BCRでの試験とシミュレーションを組み合わせることで、より現実に近い除染効果の予測が可能となりました。


バイオロジカルクリーンルーム:薬剤散布装置や除菌装置などの特殊設備を配備。バイオ関連施設のクリーン化技術の実証試験が可能

今後は、本手法により、医薬品・食品工場や医療機関向けに効果的かつ経済的な微生物対策をご提案していきます。


シミュレーション結果(例)


より現実に近い除染効果の予測が可能

本システムは、BCRにおける薬剤散布試験および分解試験と、その試験結果を踏まえた薬剤散布方法のシミュレーションからなります。

通常、薬剤の性能試験は、小型チャンバー(空間容積1m3程度)で行う試験データがベースとなっていることが多く、空間容量が大きく異なる実際の施設の滅菌効果を十分に検証することができませんでした。本システムでは、実際の施設に近い空間容量を持つBCR(空間容量51m3)で試験を実施するため、より現実に近い除染効果の予測が可能です。

■薬剤散布試験および分解試験

薬剤散布試験では、薬剤をガス化してBCR内に噴霧し、滅菌に必要な空間濃度を維持できる噴霧圧や噴霧量、噴霧時間等を求めます。薬剤は室内だけではなくダクト内にも噴霧可能です。

また、分解試験では、散布した薬剤を分解触媒装置により回収・分解し、薬剤が施設内に残留しないこと、あるいは大気に排気できる濃度に低減できることを確認します。


システムフローの例

■薬剤散布方法のシミュレーション

薬剤を散布する施設の形状や規模、什器・備品の配置情報などをモデル化した上で、BCRで実施した試験データを踏まえて薬剤噴霧口の位置や数、それぞれの噴霧圧、噴霧量、噴霧時間などの入力条件を変えながら、十分な滅菌効果を経済的に発揮する薬剤散布方法をシミュレーションします。


薬剤散布による滅菌効果を検証するバイオロジカル・インジケータ

当社では、薬剤散布による滅菌効果を検証するために、薬剤に対して耐性の異なる黄色ブドウ球菌や枯草菌、大腸菌、緑膿菌など、医薬品・食品工場や医療機関が最もケアする微生物について、培養方法や生死の確認方法、増殖菌数のカウント方法を確立しています。


試験菌を入れた容器を床など数カ所に配置。薬液を室内全体に散布する。


各容器から、試験菌を培養液に移す。


装置の中で培養。

数日後、除染の成否を判定。液体が濁っている場合は菌が生存し、透明な場合は菌が死滅していることを表す。
お客様のご要望によっては、培養液中の生菌数をカウントすることも可能。