2013.02.05

テクニカルニュース

防災・減災

吊り天井を下から支える耐震改修工法を開発・実用化

当社は、既存吊り天井をグリッド(格子)枠で下から支える耐震改修工法「グリッドサポート」を開発・実用化しました。

吊り天井は、生産施設や体育館、学校などさまざまな用途の施設に採用されています。しかし、東日本大震災で崩落事故が相次いだこともあり、多くの施設で耐震改修が検討されています。

グリッドサポートは、「端部構造部材」と「グリッド枠」のわずか2種類の部材を使用して、既存吊り天井の落下を防止する耐震改修工法です。施設の用途を問わず適用可能で、施設を使用しながら工事が行える上、天井を張り替える既存工法に比べて費用を20~40%、工期を20%程度削減することができます。また、廃材の発生量も少なく抑えます。

当社は、本工法の他にも、既存吊り天井の耐震診断から耐震改修に至るまで、豊富な対応メニューを取り揃えており、お客様の施設やニーズに最も適した天井の耐震改修をご提案します。


わずか2種類の部材で天井の落下を防止する「グリッドサポート」


わずか2種類の部材で天井の落下を防止

グリッドサポートは、グリッド枠を構成する細長いスティック状のグリッド鋼材、鋼材と建物の躯体を一体化させる端部構造部材から構成されます。

事前の現地調査が必要ですが、幅12m程度、重さ20kg/m2(ボード2枚貼り程度)の天井であれば適用可能であり、大規模天井でも12m程度のスパンごとに端部構造部材を設置することで適用可能となります。

■グリッドの色調・デザインは調整可能

グリッド鋼材の配置間隔や色調・デザインは、照明・空調・防災設備の設置間隔や目標とする耐震性能、既存天井のデザイン等を踏まえた調整が可能です。


グリッド枠を天井と同色に塗装した場合のイメージ


施設を使用しながらの工事が可能

施工手順は、最初に天井外周に沿って天井を解体して幅1m程度のスペースをつくり、このスペースを利用して端部構造部材を設置します。端部構造部材は建物の構造体と一体化させ、設置完了後は天井を復旧します。

続いて、グリッド鋼材を一本ずつ天井面にビス留めしていき、200m2程度のグリッドを構成するごとに各鋼材と構造部材を緊結します。この施工手順を繰り返し、既存吊り天井の下面全体にグリッド枠を貼り巡らします。

グリッド枠の重量は3kg/m2(吊り天井の1/7)程度とハンドリングが容易で、製造ラインが停止している時間帯に施工可能な後付け方式のため、施設を使用しながら工事を行うことが可能です。

■小規模天井の改修イメージ

■大規模天井の改修イメージ

大規模天井の場合は、天井外周に加え、梁下に位置する天井(10~12m毎)を幅1m程度解体してスペースをつくり、梁と端部構造部材を一体化します。


振動実験により耐震性能を確認

グリッドサポートの耐震性能については、当社 技術研究所での振動実験により検証を行っています。

実験では、28.5m2の吊り天井をグリッドサポートで支えた試験体を作成、天井吊元で2Gを超える振動を加えました。その結果、このような強い地震動に対してもグリッド枠が天井の変位を止め、壊れないことを確認しました。