2013.05.21

テクニカルニュース

防災・減災

シミズ総合防災診断システムの機能をバージョンアップ

当社が、平成24年3月に開発・実用化した「シミズ総合防災診断システム」の適用棟数が100棟を突破し、年内には200棟を超える見込みとなりました。

本システムは、最先端のシミュレーション技術と東日本大震災で得た知見をパッケージ化したもので、机上で行う事前評価と現地調査により、地震や津波、液状化、洪水・浸水、火災等に対する施設の防災性能を短期間、かつ手軽な価格で診断・評価することができます。また、このたびシステム機能のバージョンアップにより、竜巻等に対する強風対策の診断や、津波波高や地震動予測地図などの最新情報を参照した立地評価、巨大地震による診断対象施設の被災度予測が可能となりました。

当社は、本システムの活用により、総合的な防災診断を短期間で行うとともに、施設の安全・安心を実現する最適なソリューションをお客様へご提案していきます。


東日本大震災の最新の知見を踏まえた総合的な防災診断を手軽に実施


バージョンアップにより、強風対策診断も可能に

本システムの開発・実用化以降に、竜巻による生産・研究施設の被害が茨城県で発生しました。また、内閣府や地震調査研究推進本部が、津波や地震に関する新たな評価結果を公開しました。これらの情勢を踏まえ、当社はシステム機能のバージョンアップを行いました。

■強風対策診断

突風災害のデータベースやアメダス観測点の風向風速データを参照し、当該立地で強風や竜巻による被害が発生する可能性を診断します。

突風災害の発生が懸念される場合は、現地調査のオプションとして新たに設定した計20の診断項目と判断基準を元に、建物の外装、設備、外構の強風対策の有効性を診断します。


強風対策チェックシート

■事前評価機能の拡充

内閣府が公開した南海トラフ巨大地震による津波波高や、地震調査研究推進本部改訂の確率論的地震動予測地図等の最新情報を検索・参照可能にしました。

また、新たに付加した「巨大地震による被災度予測機能」は、当社が東日本大震災後に調査した1,000棟を超える建物の被災データを収集・分析し、診断対象施設の構造種別、階数、竣工年等を入力するだけで、想定される巨大地震が発生した場合の建物被災度を予測できるようにしました。


防災診断のノウハウを集約した「シミズ総合防災診断システム」

本システムは、立地環境に関する事前評価と建物の防災性能に関する現地調査により、施設の防災性能を総合的に診断します。

調査項目と判定基準のシステム化により、地震の揺れのみならず、液状化、津波、火災などに対する防災上の課題や改善箇所を判定することができます。


建物の健康診断ともいえる「シミズ総合防災診断システム」

ステップ1 【事前評価】

建設地の基本情報(標高、微地形区分等)と、国や自治体が公表しているハザードマップ等の情報に基づいて、立地環境を評価します。

想定地震による予想震度や液状化、津波、洪水、火災などに対する危険度がわかります。


想定地震に対する予想震度分布

ステップ2 【現地調査】

設計図書の確認や維持管理に関するヒアリング調査、建物の目視調査などを行います。

調査項目・判定基準の標準化により、約半日/棟で調査可能です。


屋上設備の調査

ステップ3 【防災診断】

立地環境と建物の防災性能を6分野、約110項目の診断項目により総合的に診断します。また、診断結果は、東日本大震災の知見を反映した判断基準に基づき、3段階で判定します。

危険または被害や損傷の恐れがある項目については、改善すべき箇所・内容を写真等を添付して明示します。


判定結果(例)

ステップ4 【報告書・対策メニュー】

診断結果に基づき、建物の防災上の課題と改善箇所を報告します。加えて、建物の安全・安心を実現するための対策・優先度など最適なソリューションをご提供します。


報告書(例)