2015.04.28

テクニカルニュース

防災・減災

免震と制震を組合わせた「スイングセーバー」で耐震性を向上

当社は、免震建物と耐震建物を制震部材で連結することにより、耐震性を向上させる免制震複合システム「スイングセーバー®」※1を開発・実用化しました。超高層マンション「ベイズタワー&ガーデン(東京・豊洲)」に初適用し、現在、施工中です。

本システムは、免震建物と耐震建物の揺れの違いを利用し、制震部材で効率よく地震エネルギーを吸収するものです。免震建物に作用する地震力を通常の免震構造の場合と比べて20~30%程度低減することができます。また、建物外周部および室内の梁の厚みや柱の幅※2を通常の免震構造の場合よりも小さくすることができ、住戸デザインの自由度も向上します。今後、当社は、この新しい免制震複合システムを、超高層マンションやオフィスビルに積極的にご提案していきます。

免制震複合システムは特許取得済です。スイングセーバーは登録商標です。

見つけ方向の寸法(住戸内から外を見た場合の柱幅)


免震と制震で、地震エネルギーを効率よく吸収

スイングセーバーを適用した超高層マンション「ベイズタワー&ガーデン」は、ロの字型に配置された住戸棟と、その住戸棟に囲まれて建物中央に位置するタワーパーキングを内包した棟から構成されています。住戸棟は免震構造、タワーパーキング棟は剛強な耐震構造となっており、数フロアおきに双方を制震部材で連結しています。

■平面概念図


制震部材には省スペースで設置できるU型鋼材ダンパーを採用。4~5フロア毎に5フロアに分けて、1フロアあたり上下2基×6箇所、計60基を設置。

■地震時の挙動(立面概念図)

地震時に、ゆっくり大きく揺れる免震構造の住戸棟と、短い周期で揺れる剛性の高い耐震構造のコア(タワーパーキングを内包した棟)を、制震部材で連結することにより、二つの建物の揺れの違いを利用して効率よく地震エネルギーを吸収し、免震構造である住戸棟に作用する地震力を、通常の免震構造の場合と比べて20~30%程度低減することができます。



安全性の向上に加え、住戸デザインの自由度を向上

本システムでは、住戸棟の地震力を低減できることにより、住戸デザインの自由度が向上します。

「ベイズタワー&ガーデン」では、建物外周部の梁の厚みを通常の免震構造の3/4以下の60cm弱にすることが可能となり、階高が同じ建物より20cm高い、約245cmのサッシュを採用しています。また、柱の幅も見つけ方向(住戸内から見た場合の柱幅)で20cm程度細くでき、明るく広々とした開放感を得ることができます。


「ベイズタワー&ガーデン」の概要

所在地 東京都江東区豊洲6-10-9(豊洲3-2街区/B-2街区)
用途 共同住宅
延床面積 64,549m2
階数 地下1階 地上31階 塔屋1階
高さ 軒高101.9m 最高高さ110.0m
工期 2013年7月~2016年9月(構造性能評価2012年取得)