2017.07.10

テクニカルニュース

施設価値向上

再生医療への取り組み

当社は、細胞培養環境を最適化する高度な環境制御機能を備えた細胞加工・調製施設(CPF)「S-Cellラボ」を技術研究所内に建設しました。

近年、再生医療分野の市場規模は、国内・海外ともに急速に拡大しており、その代表格とも言えるiPS細胞の臨床応用や創薬利用、細胞保存事業においては、今後、大規模な細胞培養施設の建設が見込まれています。そのような中、細胞培養の量産過程において生産性を左右する要因の解明と、細胞培養の統合的な管理方法の確立が求められています。

「S-Cellラボ」は、こうしたニーズに応えるための先端研究施設です。細胞培養環境のリアルタイム・モニタリングと、それに基づく高度な環境制御機能をはじめ、細胞培養の研究に必要なさまざまな機能を集約しており、実際に各種細胞を培養しながら最適な培養環境を究明することが可能です。

今後、当社では、本ラボを自社研究だけではなく、製薬会社や研究機関、ベンチャー企業との共同研究にも活用し、細胞培養の生産性を向上させる総合的なプロセス設計のノウハウの蓄積を図るとともに、再生医療エンジニアリングを積極的に展開していきます。

Shimizu Cell Laboratory

細胞培養プロセスを最適化する「S-Cellラボ」

S-Cellラボは、細胞培養環境を最適化する高度な環境制御機能を備えた細胞加工・調製施設(Cell Processing Facility)です。リアルタイムPCR※1やライブセルイメージング※2などの機器を完備し、細胞培養から分析まで一貫して対応することができます。

ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅産物の増加をリアルタイムに測定することで、鋳型となるDNAの定量を行う手法。

生きた細胞の生命活動を可視化するとともに、その動態を観察するシステム。

施設配置図

施設規模は約100m2。細胞培養の研究に必要な機能を集約した30m2のユニットを組み合わせて構築

細胞培養に最適な環境構築

細胞培養の生産性は、細胞の種類・個体差に加え、原材料、容器などの資材、培養プロセス、培養環境など、さまざまな要因に左右されます。そして、これらのばらつきによる生産性のわずかな低下が、量産過程においては大きなロスにつながります。

本ラボでは、培養の過程で細胞に大きな影響を与える可能性がある清浄度・気流・室圧(差圧)・温度・湿度に加え、光・音・振動、さらには空気中のCO2およびガス状化学物質にいたるまでリアルタイム・モニタリングしつつ、それぞれの濃度を制御することが可能です。各種細胞を培養しながらモニタリングを継続し、その結果と細胞培養の生産性との関係を明らかにしていくことで、最適な培養環境を究明します。


  • ガス分析装置

  • リアルタイムPCRによる遺伝子発現解析

ペーパーレスで培養プロセスを一元管理する「細胞培養管理システム」

細胞培養作業では、検体・資材の入荷から最終製品の出荷まで、製品の種類ごとに設定されている培養手順を確実に順守・管理することが求められます。これらのプロセス管理には、紙の指図書や記録用紙を利用するケースが多いのが現状ですが、高い清浄度が求められる培養施設においては、紙を持ち込むことですら清浄環境に悪影響を与える可能性があります。また、培養する個体数が増えると、検体や試薬の取り違いが生じるリスクも高まります。

当社が開発した細胞培養管理システムは、タブレット端末を用いて、細胞培養作業の一連のプロセスを一元管理します。作業指図の表示から作業記録の保存、細胞保管場所の管理まで、一貫して運用することができるため、トレーサービリティを確保すると同時に、検体や試薬の取り違いを防止します。また、環境モニタリングとの連携により、細胞の状態が急変した場合などは、その原因の速やかな解明に役立てることができます。


  • 作業計画の作成

  • 在庫の管理