論文紹介清水建設が発表した論文をご紹介します。

台風シミュレーションを用いた設計風速の推定

第61号1995年4月
松井正宏、孟岩、日比一喜

現在の耐風設計に用いられている設計風速は、風向特性が考慮されていない。これは、従来の観測記録を極値分布に当てはめる手法では、すべての観測地点に置いて、希に発生する大型台風に対して十分な観測記録が得られていないためである。

本研究では、L.R.Russell(1971)によって開発されたハリケーンに対するモンテカルロ・シミュレーション手法を発展させ、台風時の風向特性を考慮することのできる地上風予測手法の定式化、および予測精度の確率的検討を行った。

まず、気象台(大阪)における台風の風向・風速観測記録を孟ら(1993)のモデルを用いてシミュレートし比較した。その結果、風向・風速に関して数10km以上離れた地形の影響が示唆された。次に、この地形の影響を経験的に取り込む方法を定式化し、台風の風向・風速記録とよく対応することを確かめた。

さらに、この地上風の予測式を用いてモンテカルロ・シミュレーションによって求めた年最大風速の確率分布、風向別超過確率は、観測記録と良い対応を示し、本手法が風向を考慮した長い再現期間の設計風速の設定に有効であることが示された。

Evaluation of Design Wind Speed by using Typhoon Simulation Method

by Masahiro Matsui, Yan Meng and Kazuki Hibi

A study on design wind speed evaluation by using typhoon simulation is presented.

Typhoons observed at a meteorological station are simulated according to the typhoon model developed by Meng et. al. (1993) The differences between observations and simulations pointed toward the effect of large scale topography.

After taking account of these differences, an empirical adjustment was introduced and Monte-Carlo simulations were conducted. The results agreed with the observed extremes in wind speed and wind direction.

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