2017.01.10

テクニカルニュース

施設価値向上

生産施設向け高性能免震システムの適用実績が50万m2を突破

当社開発の、微振動抑制と地震時の免震機能を兼ね備えた高性能免震システム「マルチステップ免震」の適用実績が8棟、述べ50万m2を突破しました。

一般的に免震構造を採用した建物では、強風や建物内の生産装置類の振動により免震装置が変形し、微小な揺れが発生することがあります。このため、超精密機械工場などの生産施設においては、こうした微振動を防ぐことが求められています。

本システムは、3つの異なる免震装置を組み合わせることで、平常時の微振動抑制機能と、地震時の高い免震機能を兼ね備えています。また、コストは通常の免震システムと同等です。

今後も、精密環境が要求される半導体生産施設やクリーンルーム、建物内に大きな振動源をもつ印刷工場などに、当システムを積極的に提案していきます。

微振動抑制機能と高い免震機能を兼ね備えた「マルチステップ免震」
微振動抑制機能と高い免震機能を兼ね備えた「マルチステップ免震」

平常時の微振動抑制機能と地震時の高い免震機能を両立

地震の大きさと免震層の変形
地震の大きさと免震層の変形

大地震時のBCP対策として導入される一般的な免震構造は、建物と地盤の間に柔らかく変形する積層ゴム支承を設け、地震の揺れを建物に伝わりにくくするものです。そのため、強風や建物内の生産装置類の振動により、積層ゴム支承が変形し、建物全体に微小な揺れが発生する可能性があり、超精密機械工場などの生産施設においては、生産機能に影響する微振動を防ぐ対策が必要です。

当社が2007年に開発した「マルチステップ免震」はこれらの相反する要求性能を両立するシステムで、平常時には免震装置の変形を抑えて生産機能を維持し、地震発生時には滑らかに免震装置が作動し、被害を最小化します。

マルチステップ免震のしくみ

マルチステップ免震は、免震用の「積層ゴム支承」、摩擦力によって微少な揺れを抑制する「剛すべり支承」、免震層の動きだしを滑らかにする「弾性すべり支承」で構成されます。

複数の種類の免震装置を建物の特性に合わせて配置することで、平常時には微振動性能を確保し、大地震時には被害を最小化し、早期復旧に寄与します。また、剛すべり支承の摩擦力を調整することで、想定する地震の大きさに合わせて免震の効きはじめを変えることができます。

マルチステップ免震のしくみ

マルチステップ免震と一般的な免震の比較

マルチステップ免震は、3つの異なる免震装置を組み合わせることで、施設の生産機能に影響する微振動を抑制し、中小地震から大地震まで幅広く免震効果を発揮します。

強風時の動き(変形を200倍に拡大表示)

一般的な免震構造は、積層ゴム支承が変形し建物全体に微小な揺れが発生するため、生産に影響を与える可能性があります。マルチステップ免震は、強風時には免震装置が変形しないように設定しており、微小な揺れを抑えて生産機能を維持します。

強風時の動き(変形を200倍に拡大表示)

大地震時の動き(変形を20倍に拡大表示)

大地震時には、マルチステップ免震は一般的な免震と同様に高い免震機能を発揮します。地震による建物の揺れを抑えて、内部機器の被害を最小化し、早期復旧に寄与します。

大地震時の動き(変形を20倍に拡大表示)

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