2019.06.03

テクニカルニュース

生産技術

コンクリートを“デザイン”に変える超撥水型枠「アート型枠」

当社の超撥水型枠「アート型枠」を用いて、外壁・内壁の木目調打放しコンクリートを施工した「ホテル祇園一琳(京都市東山区)」が2019年2月にオープンしました。

本建物の建設地である祇園町南側地区は京都市の歴史的景観保全修景地区に指定されているため、建築確認申請に際しては地域の歴史的建築意匠に沿った意匠であることが求められます。本建物では「京都の街並みに溶け込みながらもラグジュアリーな空間が広がる」というコンセプトのもと、木目調コンクリートを用いた和風建築風の美しい外観、エントランスホールなどを計画。これを実現するにあたり、当社は杉板材のアート型枠による施工を提案し、採用されました。

アート型枠は、水を著しくはじく超撥水層を型枠表面に付与することで、気泡痕や色むらのない美しく高品質なコンクリートを構築する技術です。今回の工事では、この特長を生かし、一般的な打放しコンクリートよりもさらに施工難度が高く、気泡痕や色むら、脱型時の剥離が発生しやすい木目調コンクリートを、鮮明かつ美しく、また高品質に仕上げています。

近年は高級感を演出する木目調打放しコンクリートに対するニーズが高まっています。今後、当社では、本技術を用いた施工をお客さまに積極的にご提案していきます。

ホテル祇園一琳では、アート型枠を用いて外壁・内壁の木目調コンクリートを施工
ホテル祇園一琳では、アート型枠を用いて外壁・内壁の木目調コンクリートを施工

東洋アルミニウム(株) との共同開発

「アート型枠」の概要

ハスの葉の表面構造を人工的に再現し、超撥水を実現

ハスの葉が水を弾くことはよく知られていますが、これは葉の表面にある無数の微細な凹凸が、葉と水滴の接する角度(接触角)を約160°に保っていることによります。

本技術は、この原理を応用したもので、型枠の表面に蓮の葉の表面構造に似た微細な凹凸を人工的に付与し、型枠表面とコンクリートの接触角を150°以上とすることで超撥水を実現しています。

図の「θ」は接触角(固体表面と水滴が接する角度)。接触角が150°を超えると超撥水となる
図の「θ」は接触角(固体表面と水滴が接する角度)。接触角が150°を超えると超撥水となる
  • ハスの葉の表面構造。微細な凹凸が無数にある
    ハスの葉の表面構造。微細な凹凸が無数にある
  • ハスの葉を模したアート型枠の表面構造
    ハスの葉を模したアート型枠の表面構造

超撥水層が気泡痕を大幅に抑制、剥離性を高め脱型時の剥落を防止

脱型後のコンクリート表面に生じる気泡痕は、コンクリート打込み時に巻き込まれた気泡が型枠との界面に残ることで生じます。

気泡は滑るように外部に抜け、発泡は抑制される
気泡は滑るように外部に抜け、発泡は抑制される

本技術では、型枠表面の超撥水層により、型枠面に到達した気泡がその場にとどまることなく、浮力によって型枠との界面を滑るように外部に抜けていくことで、脱型後のコンクリート表面に生じる気泡痕を大幅に抑制します。

また、コンクリートのセメント分が型枠表面に付着しづらくなるため剥離性が高まり、脱型時の剥落も防止します。

コンクリート打込み時の型枠表面

  • 従来型枠:コンクリートのセメント分が型枠表面に付着
     従来型枠:コンクリートのセメント分が型枠表面に付着
  • アート型枠:コンクリートのセメント分は型枠表面に付着しない
    アート型枠:コンクリートのセメント分は型枠表面に付着しない

脱型後のコンクリート表面

  • 従来型枠:表面に気泡痕が残る
    従来型枠:表面に気泡痕が残る
  • アート型枠:気泡痕を大幅に抑制
    アート型枠:気泡痕を大幅に抑制

転写された微細な凹凸が色むらのない明るい仕上がりを実現

超撥水層の微細な凹凸が転写されたコンクリート表面は光を乱反射するため、明度が均一に高くなり、色むらのない明るい仕上がりとなります。

  • 従来型枠
    従来型枠
  • アート型枠:色むらのない明るい仕上がり
    アート型枠:色むらのない明るい仕上がり

木目調コンクリートを鮮やかに美しく

本技術は、一般的な打放しコンクリートはもちろん、木目調コンクリートの仕上がりも向上させることができます。

ホテル祇園一琳では、外壁918m2、エントランスなどの内壁103m2をアート型枠で施工。コンクリートでありながら木の質感にあふれる美しい見栄えの壁面に仕上げました。

  • 美しい杉の木目が鮮明に転写されたコンクリート壁
  • 美しい杉の木目が鮮明に転写されたコンクリート壁
美しい杉の木目が鮮明に転写されたコンクリート壁