2025.12.04

事例

施設価値向上

健康・快適

第一生命京橋キノテラス

「シミズ ハイウッド®」を導入 ― 国内最大級の木質ハイブリッド構造ビル

脱炭素社会の実現にむけ、都市部における建築物への積極的な木材利用への期待が高まっています。建築物を最適に木質化するシミズ ハイウッドは、共同住宅に初適用後、低中層オフィスなどの実績を積み重ねてきました。今回適用されたのは国内最大級の木材使用量となる賃貸オフィスビル「第一生命京橋キノテラス」です。

日本橋と銀座をつなぐ中央通りと鍛冶橋通りの交差点に立地し、東京メトロ京橋駅に直結する第一生命京橋キノテラス
日本橋と銀座をつなぐ中央通りと鍛冶橋通りの交差点に立地し、東京メトロ京橋駅に直結する第一生命京橋キノテラス

耐震性・耐火性・施工性と開放性・快適性を両立

「第一生命京橋キノテラス」は、地上12階・地下2階、高さ56mと、木質ハイブリッド構造のオフィスビルとしては竣工時点で日本一の高さの建物です。「Well-being×Sustainability」をコンセプトに計画され、これを実現するために、清水建設の木質ハイブリッド技術「シミズ ハイウッド」を採用しました。この技術により、木造と鉄骨造のそれぞれの利点を最大限に活かしながら、高い耐震性、耐火性、施工性を確保すると同時に、「木」を感じながらも開放性の高い外観や快適な木質無柱空間を実現し、利用者のウェルビーイング向上に寄与します。

Well-being:木に囲まれた快適な執務空間の提供

建物の内装に木材を取り入れることは、心身の健康や生産性の向上に良い影響を与えることが知られています。

天井や梁に木材を使用した空間

この建物では、主要構造部の天井や梁に使われている木材を内装デザインにも積極的に活用し、利用者がリラックスでき、仕事の効率も上がるような、木の温もりを感じる快適なオフィス空間を提供しています。

この建物では、主要構造部の天井や梁に使われている木材を内装デザインにも積極的に活用し、利用者がリラックスでき、仕事の効率も上がるような、木の温もりを感じる快適なオフィス空間を提供しています。

各フロア設けられたテラスの外観

さらに、各フロアには外の空気に触れられるテラスを配置しました。これにより、多様な働き方に対応し、施設利用者のコミュニケーションが活発になるような空間を実現しています。

さらに、各フロアには外の空気に触れられるテラスを配置しました。これにより、多様な働き方に対応し、施設利用者のコミュニケーションが活発になるような空間を実現しています。

Sustainable:持続可能な先進オフィスの実現

使用している木材の情報

第一生命京橋キノテラスには、東京都多摩産材を含めて国産木材を使用しており、その量はオフィスビルとしては国内最大級となる約1,100m3に達しています。

第一生命京橋キノテラスには、東京都多摩産材を中心とした国産木材を使用し、その量はオフィスビルとしては国内最大級となる約1,100m3に達しています。

本プロジェクトでは木質ハイブリッド構造を採用し、木材利用によって約740t-CO2の固定化※1を実現しました。さらに、使用する鉄骨材の約70%にリサイクル資源を活用した電炉材※2を採用することで、同規模の一般的な鉄骨造オフィスビルと比較して、総量で約37.5%の建設時CO2削減を達成しました。

標準的な鉄骨造と比較した場合のCO2排出量

固定化:木材は森林が吸収した炭素を貯蔵する効果があり、これを建築物に利用することにより、大気に放出しない取組み(=固定化)

電炉材:鉄スクラップを主な原料とし、電気をエネルギー源とした電気炉で加熱・溶解して作られる鋼材

木質無柱空間を実現した「シミズ ハイウッド」の新技術

シミズ ハイウッドは、木材と鉄骨、コンクリートを適材適所に組み合わせて、木材のみでは実現が難しい耐震性、耐火性、施工性を確保し、デザイン性、経済性にも優れた木造・木質建築を実現する木質ハイブリッド技術です。

木質無柱空間の平面図

南北に視界が抜ける40m×17mの無柱木質空間は、引張力に優れ長いスパンに対応できる鉄骨と、圧縮に強い木材それぞれの特性を活かすことにより構築できました。

ハイブリッド架構計画

第一生命京橋キノテラスでは、新たに開発した「ハイウッドスラブ・サポートレス工法」「ハイウッドビーム2時間耐火仕様」「ハイウッドウォール」を適用するなど、シミズ ハイウッドの技術を適所に取り入れています。

シミズ ハイウッド

CLT:Cross Laminated Timber(JASでは直交集成板)の略称。ひき板を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料のこと

設計担当者よりひとこと

都市に温もりと生命力を

ウェルビーイングやサステナビリティをテーマに、中高層木造ハイブリッドオフィスとして具現化したプロジェクトです。本プロジェクトは、単なる環境負荷の低減に留まらず、都市景観に温かみと生命力を与え、人々の暮らしや働き方に新たな価値をもたらしたいと願う私たちの挑戦でもありました。都市と自然、伝統と革新が調和する、持続可能な賃貸オフィスビルの新たな契機となることを願っています。

建築総本部 設計本部 業務施設設計部

内藤 純

施工担当者よりひとこと

鉄骨と同じ方法で木質ハイブリッド施工に挑戦

京橋の交通量の多い交差点での施工という厳しい条件のもと、新規開発を含む木質ハイブリッド構造による「木」を感じる快適な空間を「通常の鉄骨建方と同じ方法で施工する」という目標を掲げました。風雨対策、木造用仮設設備の製作、多様な内装仕上げ材に対応した工程調整と品質管理など、木質建築ならではの苦労も多く大変でしたが、最終的に目標通りに施工できたことを誇りに思います。

東京支店 生産計画統括部

大畑 雄一