SUSMICS-Caは、木質バイオマスを炭化して作られたバイオ炭を混合する環境配慮型コンクリートSUSMICS-Cのシリーズ技術で、優れたアンモニア放散抑制効果により、CO2固定によるカーボンネガティブへの貢献と、美術館・博物館や半導体製造施設等における清浄な空気環境の維持という、相反しがちな二つの要件を高いレベルで両立する国内初のソリューションです。
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アンモニア放散量の可視化デモンストレーションの様子普通コンクリート(バイオ炭なし)(左)と
SUSMICS-Ca(バイオ炭あり)(右)のアンモニア放散量を検知管(空気中の特定ガスの濃度を測定するガラス管)により比較
アンモニア放散量の可視化デモンストレーションの様子普通コンクリート(バイオ炭なし)(左)と
SUSMICS-Ca(バイオ炭あり)(右)のアンモニア放散量を検知管(空気中の特定ガスの濃度を測定するガラス管)により比較
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デモ開始前(左)終了後(右)アンモニアガスが多いほどピンクから黄色に変色する
デモ開始前(左)終了後(右)
アンモニアガスが多いほど
ピンクから黄色に変色する
背景
アンモニアガスは、躯体コンクリートや仕上材(塗料、塗床材、接着剤)から発生します。特にコンクリートからは長期に渡って大量に発生することが知られており、美術館では油絵の具の変色といった展示収蔵品の劣化、半導体製造施設では半導体回路の形成不良といった製品不良の原因となります。そのため、美術館や博物館、半導体製造施設においては、極めて厳格な室内のアンモニア濃度の管理および低減対策が欠かせません。
従来、これらの施設ではコンクリート打設後、アンモニア濃度を推奨値(美術館・博物館の場合、東京文化財研究所の推奨値は30ppb以下)まで低減させるため、「枯らし期間」として2回の夏を経過する必要があり、工期や運用の柔軟性を損なう要因となっていました。
「SUSMICS-Ca」の特長
SUSMICS-Ca(Concrete for ammonia)は、バイオ炭が持つ化学物質吸着能力を最大限に活用した技術です。セメントやバイオ炭、混和剤の配合を最適化することで、コンクリートから放散されるアンモニアを効果的に抑制できることを確認しました。
1.アンモニア放散抑制とCO2排出削減を両立
コンクリート1m3あたりバイオ炭を80kg混合した場合、コンクリートとしての所定の強度(24N/mm2以上等の設計強度)を担保しながら、アンモニア放散量を74%、CO2排出量を81%削減することを確認しました。
2.汎用性が高く、どこでも製造・施工が可能
特殊な設備は不要で、一般の生コンクリート工場で製造できるため、普通コンクリートと同様に現場打ち施工が可能です。
3.シミュレーションツールによる最適な環境実現
現場ごとの換気条件や施工工程を入力し、アンモニア濃度の経時変化を予測する独自のシミュレーションツールを開発しています。
コンクリートからのアンモニア放散は温度依存性が高く、夏季に濃度が上昇します。 普通コンクリート(黒線)では冬季に一度基準値(30ppb)を下回るものの、夏季の温度上昇に伴い再び超過するため、基準値以下に安定するまでの「枯らし期間」は14.5ヶ月を要します。一方、SUSMICS-Ca(緑線)を採用した場合、初期から放散が抑制され、夏季を通じても基準値を超えないため、枯らし期間を3.1ヶ月へと大幅に短縮可能です。
今後、現場測定とシミュレーションの結果比較を通じて予測精度を高めることで、必要最小限の対策で最適な空気環境の提供を実現していきます。
適用と今後の展開
実用化第1号として、広島市に建設中の「泉美術館」(2029年春開館予定)の床スラブ(打設量:計250m3)への適用が決定しています。本プロジェクトでは、現場測定を通じた空気質モニタリングを実施し、以下の性能を検証します。
- アンモニア放散の抑制効果
- 「枯らし期間」の短縮効果
試算上、普通コンクリート(260ℓ)に対し、SUSMICS-Caでは47ℓへと約1/6に低減できる見込みです。実測を通じて、この放散抑制効果による室内アンモニア濃度の低減を検証します。
開館までにコンクリート打設からふた夏を越す枯らし期間を確保した上で、アンモニア室内濃度の推奨値をいかに短期間でクリアできるかを検証します。理論的には、「枯らし期間」を1/5程度に短縮できる可能性があり、工期短縮への貢献も期待されます。
今後は、空気質モニタリング調査の結果を踏まえ、SUSMICS-Caをアンモニア濃度低減ソリューションの標準的な選択肢として確立します。
また、SUSMICS-CおよびSUSMICSシリーズの付加価値を高める研究開発を継続し、建造物の品質向上と地球環境への貢献を両立していきます。
