2021.06.28

事例

省エネ

施設価値向上

北陸支店新社屋 後編

スパン25m超の木質大空間で自由な働き方を促進

「超環境型オフィス」をコンセプトに、最先端の省エネ・創エネ技術を採用した「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」の実現と「働き方改革、健康増進に資するオフィスづくり」を目指した北陸支店新社屋の2つ目の事例をご紹介します。(北陸支店新社屋 前編「省エネルギー」はこちら

「超環境型オフィス」は、省エネルギー性能向上による地球環境への配慮だけでなく、働く人に快適な環境を提供するオフィスを意味しています。新社屋では、2層の吹抜けを介して2階と3階に多様なワークエリアを各所に配置し、より創造的で柔軟な働き方を誘発するオフィスを目指しました。また、オフィスが一体化された吹抜け空間を実現するためには大スパン化が必要であり、今回は集成材と鉄骨を一体化した高さ1m超の(たい)()(もっ)(こう)(はり)「シミズ ハイウッド®ビーム」を新規に開発。古都金沢の歴史と融和するように、日本の伝統的な建築様式に見られる、角材を格子に組んで天井を構成する「(ごう)(てん)(じょう)」を想起させるデザインを目指しました。

導入した技術の特徴

シミズ ハイウッドとクリエイティブ フィールドは清水建設の日本国内における登録商標です。

集成材と鉄骨を一体化した耐火木鋼梁「シミズ ハイウッド ビーム」

当社は、木質構造を構成する技術を「シミズ ハイウッド」と称し、中大規模の木質建築向けの技術開発を推進しています。耐火木鋼梁「シミズ ハイウッド ビーム」の開発はその一環です。新社屋では、北陸地方における地元林業の活性化に寄与するため、集成材に石川県産の「能登ヒバ」を耐火被覆として利用した「大断面」の耐火木鋼梁を国内で初めて採用※2しました。

能登ヒバによる耐火被覆が国内初。梁せい600mmを超えるのが国内初。大臣認定取得済 特許出願中

耐火木鋼梁とは、鉄骨梁を覆う集成材が耐火被覆の役割を果たす木質構造部材です。集成材は、火災時には炭化して断熱層を形成し、鉄骨梁の温度上昇を抑えることで耐火性能を維持します。平常時には密着させた集成材が鉄骨梁の剛性を補完するとともに仕上げ材の役割を果たします。

仕上がり断面は高さ1,160mm、幅310mm、内蔵する鉄骨梁は、梁成1,000mm、フランジ幅150mmです。この木鋼梁をオフィス空間の長辺方向に3.6m間隔で架設するとともに、同サイズの集成材を用いて格子角1.8mの格天井を築き、計232m3の能登ヒバ集成材を用いてスパン25m超の木質大空間を実現しました。


  • シミズ ハイウッド ビームの構造

  • シミズ ハイウッド ビームによる格天井の構造

国土交通大臣認定では、鉄骨梁の断面が梁成(H型鋼の高さ)350~1,000mm、ウエブ幅12mm以上、フランジ幅19mm以上について、能登ヒバの集成材により80mmの被覆を施すことで、1時間の耐火性能を確保できる、としています。

シミズ ハイウッド ビームの耐火性能試験

今後は、カラマツの集成材を用いた耐火木鋼梁についても大臣認定を取得するとともに、さまざまな顧客のニーズに応えられるよう、引き続き木質建築技術の開発に広く取り組んでいきます。

Shimz DDEで、働きかたを変える「クリエイティブ フィールド」を実現

オフィス空間は、多様なワークエリアが混在し、より創造的で柔軟な働き方を誘発するオフィス「クリエイティブ フィールド」を目指しました。グループ単位のフリーアドレスを導入し、レイアウト検討に際してはShimz DDE(清水建設独自のコンピュテーショナルデザインプラットフォーム)を用いて、“人”と“アクティビティ”の関係性や、“空間”の特性から、新たなプランニングの可能性を探りました。また、ABW※3(アクティビティ・ベースド・ワーキング)を導入し、業務内容に応じて選択できる様々なワークエリアを各所に配置しており、目的やその日の気分に合わせて働く場所を選ぶことができます。

自然光と自然風を取り込んだ2層吹き抜けの明るいオフィス空間では個々のアクティビティが見える化され、創造的な働き方を促進しつつ、快適かつ健康的に働けるオフィス環境を提供します。(最高ランク「プラチナ」の取得を目指し、WELL認証申請予定。)

ABW:Activity Based Workingの略。オフィス内にさまざまなアクティビティに適したワークスペースを用意し、作業内容に応じて働く場所を変えられる働き方。

Shimz DDEを活用したレイアウト検討

レイアウト検討では、Shimz DDEを活用し、近接性の評価や、部署とアクティビティの関係性の紐づけ、在籍率の可視化などを行いました。

近接性の評価

「コミュニケーションをとる頻度等の人と人の関係の深さ」を近接性としてとらえ、ワーカー間の直接の対面による会話の回数(累積時間)を測定して定量化。アンケート調査およびセンシング※4による利用実態や働き方に関する調査を北陸支店勤務の約150名の社員に実施、取得したデータから「社員間」および「チーム間」のコミュニケーションをネットワークグラフとして可視化し、近接性を把握しました。さらにそのグラフをもとに、いくつかのコミュニティ(グループ)に分割し、フロアゾーニングに反映させました。

センサー(感知器)などを使用して、さまざまな情報を計測・数値化する技術の総称。本計画ではオフィス内に電波受信機を設置し、社員には個人識別用のID情報を一定周期で発信するビーコンを携帯させ、社員の位置を算出。さらに騒音計により計測した音圧情報から会話の有無を判別。

近接性を可視化するネットワークグラフ

部署とアクティビティの関係性の紐づけ

各部署の作業内容を考慮し「2人作業」「情報共有」「対話」など、想定されるアクティビティに合わせた空間や家具を用意し、関連性の深い部署を結びつけていくことで、相関図をダイアグラム化しました。

それぞれのワークプレイスが在籍人数比に応じたバブルの大きさで可視化され、空間サイズと紐づけられた関係性を考慮しながら、配置計画を行いました。

ワークプレイスの分類

各ワークプレイスは、各部署の拠点となる「Main ワークエリア」、作業内容によって共有する「ABWエリア」、主に休憩する「Refreshエリア」に分類して色分けをすることで、直感的にイメージしながら配置計画を行いました。

相関図をアクティビティの種類で色分け

各アクティビティの種類と家具

今後もオフィスでの働き方は多様化し、オフィス空間づくりには、一層の柔軟さが求められると思われます。このようなニーズに応えられるよう、Shimz DDEを活用しながら、最適なワークプレイスづくりをしていきます。